アンチエイジング

記憶力低下を食い止める方法は○○?脳と若年性認知症の関係

世界保健機関(WHO)が発表した報告書によると、世界における認知症有病数はおよそ3,560万人。日本においても、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になっていくといわれています。

そのなかでも最近では65歳未満で発症する「若年性認知症」も徐々に増加傾向に。若年性認知症はアルツハイマー病である場合が多く、とくに30代、40代の働き盛りで起こると進行も早くなります。

厚生労働省統計調査より

若い世代でも認知症に?

サラリーマンなど働き盛りが発症してしまうと収益のバランスが不安定になり、家庭の状況も悪くなる可能性もありますよね。とくに21世紀に入ってからは電磁波や大気の汚染など脳にもよくない影響を与える事が多くなってきていますから、そういった要因も若くして発症する原因の一つと考えられます。

また脳の使い方も問題です。デジタル機器が普及してからというもの、私たちはかつてないほどの刺激を脳に送っています。毎日SNSをチェックし、動画を見た後に仕事ではプレゼン資料を作り、提案をする…。しかも1日中座りっぱなしで、ランチタイムはコンビニのお弁当。

そのため脳は昔ではありえない程たくさんの情報をキャッチし、適切な栄養を与えられないまま、素早く情報を処理をしなければいけない役割を担わされています。

そう、あなたの脳はブラック企業の社員さながらの働きをしているわけです。

コレチゾールでイライラが増す

例えば、あなたが毎日オフィスでパソコンの仕事を夜遅くまでしているとしましょう。

月の何日かには定例プレゼンが入っていて、前日は常にテンションも高くお酒を飲まないと眠れません。この間あなたの身体に起こっているのは血液中のコルチゾールが高い状態が続き、脳も身体も厳戒態勢に入っているということ。

こうなると普段からイライラが増し不機嫌な日が続くようになっていて、同僚からも話しかけづらいと思われているかもしれません。さらにストレスによって扁桃体が刺激され続けると、脳の興奮は冷めることがない状況。

最悪な状況を抑えるためにブレーキ役としてあるのが記憶をつかさどる海馬ですが、あまりにもストレスが多いことが起きるとやがて委縮し、いずれはパニック障害そして鬱などを発症します。さらに記憶力の低下や物覚えが悪くなり、やがて認知症へ…といった状況へと進行していくのです。

ストレスフルが認知症の要因?

1000億個もの細胞を誇る脳ですが、25歳前後をピークに委縮を続け、1秒間に約10万個もの細胞が死滅します。

認知症においては海馬や前頭葉が委縮してしまう事が深刻なわけですが、ご存知の通り私たちがコミュニケーションで使っている言語をはじめ、記憶力や行動、感情表現、気分、考え方などをつかさどっている部分です。

先に述べたようなストレスフルな状況が毎日続くと、脳細胞の死滅に拍車をかけ、緩やだった前頭葉や海馬の萎縮においても加速することが懸念されます。

年を取ると「やる気がでない」とか「疲れやすい」といった症状も多くなりがちですが、こういった脳の変化も理由の一つとして考えられます。

MCI(軽度認知障害)の目安

さて、ここで軽度認知症とされる基準について取り上げてみます。

▼中核症状 短期記憶からもの忘れが始まる、趣味や日課に興味が薄れる

▼BPSD 抑うつ症状、イライラ感、性格が変わったと感じる

▼日常生活は普通に送れるものの、加齢や教育レベルだけでは

 説明しきれないもの忘れや失敗がある。

個人的には「仕事で新しいタスクを行うときや習った事をすぐに忘れる」「イライラする」というのが当てはまる気もします。あなたはいかがでしょうか?

ウォーキングの驚くべき作用

残念な事に、海馬も前頭葉も加齢によって徐々に萎縮してしまいますから、認知症とまではいかなくても、人は次第に物忘れや失敗が多くなっていきます。

ですが、どんな年齢からでも海馬や前頭葉の萎縮を食い止める方法と、嬉しいことに成長も期待できる方法がありました。ズバリそれが「歩くこと 」。

なーんだと思われるかもしれませんね。実は日本人は比較的よく歩くと言われていて、サラリーマンの世代では(40~59歳)は8000歩前後、定年後(60~64歳)は8000歩前後、前期高齢者(65~74歳)7000歩前後という結果がでているそうです。

しかし、これは全ての人に当てはまっているかは不明。駅までに行く通勤以外で週末を家で過ごすとした場合には、おそらく一万歩も歩いていない人は結構多いのでは?と思います。

研究によると、週3回速足で歩くこと を行った場合、短期記憶と長期記憶がともに改善され、海馬の成長も見受けられたという報告も。「ちょっと歩き足りないな。」と思えるふしがある方は、ぜひ普段の生活に歩くことを取り入れてみてはいかがでしょうか。

ウォーキングによるメリット

研究によると軽いウォーキングまたはジョギングを週に150分間続けることで認知症のリスクがぐっと減るという結果が出ています。

これは脳と身体はつながっていて、運動により血糖値などが安定し、フリーラジカルの増加が抑えられるからです。

小さな離島などで農業をしている老人は他の地域に比べて認知症が少なく、脳の若さもキープしている人が多いそうですが、これはひとえに「身体を動かす」機会に恵まれた日常生活が関係しているといってもいいでしょう。さらに脳が若い事で寿命も延びるといった報告もあります。

また、ウォーキングによって海馬と前頭葉が強化されるとストレスに強くなる。という相乗効果もあります。なぜなら運動をすることで脳に血流が増え、脳の血管を太くし、さらに新しい血管をつくり血液や酸素の共有量の増加へとつながるといった効果があるからです。

大切なのは習慣化すること

スゥエーデンの研究によると毎日意識的に歩くこと 認知症の発症が40パーセントも減った。という研究結果が出ています。方法としてジムに週何回か行っているのであれば20分のランニングか、プールでウォーキングをするなども効果が期待できそうです。

ジム以外では通勤、20~30分のウォーキングをしてみてるのもよいでしょう。もちろん、ジョギングにも同じ効果が期待できますが、ガッツリ走るよりもスローペースでゆっくり走る「スロージョグ」の方が海馬や前頭葉には良いようです。

また一番大切なのが「時々さぼっても良いから続けること。」お正月によく「今年は○○をするぞ」といった習慣の見直しをする人がいますが、ほとんどの場合、その習慣が持続することってないですよね。

そこで「歩くこと 」を習慣とするヒントというか提案ですが、ちょっと公園に行くとか、買い物帰りに別な場所に立ち寄るとか今の習慣にプラスアルファの歩く事を加えてみたらいかがでしょうか。

私の場合、出勤前に近くの公園まで立ち寄ることを日課としてみようと思い、今現在せっせと歩いてみています。

初日は張り切ってジョギングをしたのですが、3日後にはみごとウォーキングに切り替わりました。それでも出勤前バタバタしていた生活が少し穏やかになり、街の風景を楽しみながら出勤できるのは、少し余裕がある気がしています。

とはいえ、忙しいビジネスパーソンであればビジネス併用の機能性ビジネスシューズを履く、というのもひとつかもしれません。機能性ビジネスシューズなら足が疲れにくく歩きやすいという利点もあります。

まとめ

いかがでしょうか。個人的な事ですが、私の父はレビー型認知症を患ってしまってい、介護施設にお世話になっています。

企業戦士として長く働き、ラーメンが大好きで、その食生活は老後も変わることがありませんでした。

そして施設に入る前には、数百メートル先のコンビニエンスストアに行くだけでも息切れがしている状態に。認知症になってしまったのもやむを得なかったのかもしれません。

ですが、あなたはまだ間に合います。認知症予備軍から一歩リードするためにも、ぜひウォーキングやジョギングを生活習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか?